材料組織の予測技術

計算機シミュレーションを利用した材料組織の予測技術 ~組織形成シミュレーション~

鋼などの金属材料が、素材から様々な製造工程を経て形を変えながら最終製品に至るまでには、材料の内部で多様な変化が生じています。それを私達は「組織変化」と呼んでいます。そして、この組織変化を適切に制御することにより、優れた材料特性(高強度、高延性、高耐食性)を持った金属材料を得ることが可能となります。したがって、組織変化を科学的に理解・予測することは材料開発や製品の信頼性を向上させる上で不可欠なことなのです。

写真:高炭素鋼(0.8%C)の冷却過程の組織変遷例【冷却速度20℃/秒】
(共通点型レーザー顕微鏡観察像、大阪大学接合科学研究所小溝研究室提供)

  1. (a)オーステナイト相(※1)の結晶粒界(※2)から、パーライト相(※3)が花を咲かせるように成長を開始する。
  2. (b)温度が低くなると、炭素原子の拡散(移動)が起こりにくくなり、パーライト相の成長が止まる。
  3. (c)さらに温度が低くなると、残ったオーステナイト相から針状のマルテンサイト相(※4)への速い相変態(※5)が起こる。

組織形成シミュレーションとは、材料内部で生じる様々な組織変化の過程をコンピュータで予測する計算機シミュレーション技術です。この技術により、実験では説明困難な現象の解明や、実験と計算機シミュレーションの共同作業によって効率的な材料開発が可能となります。当社では、鉄鋼材料を中心に幅広い材料を対象にした組織形成シミュレーション解析を行っており、材料開発における重要なツールとして活用されています。今後はさらなる計算技術の向上に努め、当社の研究開発力を下支えする強固な基盤技術の確立を目指します。

Adobe Flash Playerのダウンロード

Adobe Flash Playerは「Get Adobe Flash Player」ボタンをクリックして入手できます。

Get ADOBE FLASH PLAYLER

Adobe Flash Playerのダウンロード

Adobe Flash Playerは「Get Adobe Flash Player」ボタンをクリックして入手できます。

Get ADOBE FLASH PLAYLER

動画:ステンレス鋼における溶接凝固過程のシミュレーション例
(赤色部:高Cr濃度領域、緑色部:低Cr濃度領域)

溶接凝固時に生じる元素の偏析状態を組織シミュレーションにより再現し、最適な溶接プロセス条件の探索に活用しています。

  1. ※1オーステナイト相
    純鉄または鉄と炭素の固溶体のうち、比較的高温で析出する面心立方格子構造(fcc構造)を取る結晶相の名称。
  2. ※2結晶粒界
    たくさんの微細な結晶からなる多結晶体において、複数の小さな結晶の間に存在する界面のこと。
  3. ※3パーライト相
    フェライト(体心立方格子(bcc構造)の鉄と炭素の固溶体)とセメンタイト(Fe3C炭化物)が交互に並んだ層状構造からなる鋼の組織。
  4. ※4マルテンサイト相
    炭素鋼をオーステナイト相から急冷する事によって得られる組織。オーステナイト相が炭素を固溶したままの状態で体心正方格子(bct構造)を取り、非常に硬くて脆い。
  5. ※5相変態
    材料・物質の状態(相)、結晶構造が圧力・温度により変化すること(例:水→氷、水→水蒸気)。

このページの上部へ

ここからフッター情報です