自動車の燃費改善(走行時のCO2排出量低減)のために、車体には鉄よりも軽いアルミや樹脂等も一部で適用されています。しかしクルマの素材を評価する時には単に燃費向上によるCO2排出量の低減だけでなく、素材の製造からクルマの廃棄までの「クルマの一生」でCO2排出量を考える必要があります。これを定量化し評価する手法としてLCA(Life Cycle Assessment)が国際標準として確立しています。LCA手法に基づくと、鉄を他の軽量素材に置き換えた場合、走行時のCO2は少なくなりますが、素材製造時にはより多くのCO2が排出されます。これに対して、鉄を普通鋼からハイテン(高強度鋼材)に置き換えると、車体軽量化による走行時の排出量低減に加え、鉄の使用量低減による製造時の排出量の削減効果も得られ、ライフサイクル全体では他の軽量素材よりもCO2の排出量が抑えられるのです。さらに、廃車後の素材のリサイクルによる効果も重要な要素です。多くの素材が製品寿命とともに廃棄される中、鉄は何度でもリサイクルされ、クルマだけでなく、ビルや橋、家電製品などに何度でも生まれ変わるのです。

革新的製鉄プロセス技術開発(COURSE50)プロジェクトを推進しています。水素は、燃やしてもエネルギーの他には水しか発生しない、究極のクリーンエネルギーと言われています。鉄は石炭と鉄鉱石を原料としていますが、コークス炉にて石炭をコークスへと変換する工程では、多量の水素を含んだガスが発生し、製鉄所内で有効利用されています。この水素増幅されたコークス炉ガスを用いて鉄鉱石を還元する技術を開発し、高炉から排出されるCO2の削減を狙いとしています。さらに、製鐵所内の未利用排熱を利用し、高炉ガスからのCO2分離・回収技術の実現とあわせて、約30%のCO2排出量削減を目標としています。

石炭には様々な種類がありますが、資源価格が変動するなかで、石炭埋蔵量の7割以上を占める非微粘結炭や、埋蔵量は多いものの不純物を多く含有する褐鉄鉱系鉱石を活用する技術など、低品位原料を使いこなす技術開発が大きなコスト削減に繋がります。次世代コークス製造技術(SCOPE21)は、鉄鋼業を取り巻く資源・エネルギー問題への対応力強化等を目的に、経済産業省管轄の国家プロジェクトとして開発された技術です。原料炭の事前急速加熱によるコークスの品質向上及びコークス製造時間の短縮など、様々な革新的技術が盛り込まれており、従来にないレベルでの低品位原料炭の利用拡大や大幅な省エネルギー効果などを発揮しています。