製鉄所は24時間365日鉄をつくり続けるだけでなく、鉄づくりの過程で発生する副生ガスを発電用の燃料として、自家発電設備で電力を生み出す機能も持っています。全国12カ所の製鉄所で発電を行っており、総発電量は約400億kWh。国内10電力会社の6位に相当する発電設備容量を誇っています。製鉄所内だけでなく、地域電力会社を通じて一般家庭など地域社会にも電力を供給しています。また、発電時に発生する石炭灰は、セメント原料等として有効活用するなど、地域環境にやさしい発電所を目指しています。

新日鐵住金は、官民協働で進められている「北九州スマートコミュニティ創造事業」に参画しており、標準街区比で50%のCO2削減を目指しています。「スマートコミュニティ」とは、家庭やビル、交通システムなどのインフラ全体をITネットワークでつなぎ、地域のエネルギーを有効活用する次世代の社会システムのこと。また、製鉄プロセスで発生した副生水素は、エネファーム用燃料として商業施設で活用したり、次世代型水素ステーションに送り燃料電池自動車のエネルギー源として活用しています。高度な都市基盤と環境を共生させた次世代の街づくりを推進し、低炭素社会の構築に貢献しています。

近年、新たな環境問題になっているのが、コンブやワカメなど海藻類が失われ、海が砂漠化する「磯焼け」。森林伐採や河川開発などにより、海に供給されてきた鉄分等の栄養分が不足してきたことも一因であるといわれています。そこで新日鐵住金では、自然界からの鉄分の供給を補うために、製鉄プロセスで発生する副産物の“鉄鋼スラグ”と腐葉土を活用して、海藻類の生育に必要な鉄分を安定的に海に供給しています。2004年に北海道で始まったこのプロジェクトは大きな成果をあげ、やがて全国各地に拡がる藻場再生の取り組みへと繋がっていきました。「海の森づくり」は、海洋の自然環境・生物多様性の保全、漁業・地域の活性化だけでなく、藻類増加によるCO2吸収で温暖化対策としても大きな期待が寄せられています。

新日鐵住金をはじめとする日本鉄鋼業は、鉄づくりで培われた技術をベースとした環境保全・省エネルギーの世界的取組み(グローバル・セクトラル・アプローチ)を積極的にリードしています。多国間の官民連携であるGSEP(エネルギー効率に関するグローバルパートナーシップ)の鉄鋼ワーキンググループが2011年度に立ちあがりましたが、EUをはじめとするより多くの国と地域の連携を目指して省エネルギー・環境技術の普及に取り組んでいます。今、日本鉄鋼業が中心となり、本計算方法のISO規格化に取り組んできた結果、2013年3月にISO14404「鉄鋼CO2排出量・原単位計算方法」として国際規格化されました。これにより、世界鉄鋼協会に加盟していない製鉄所も世界共通の計算方法でCO2の原単位を算出することができるようになり、鉄鋼業の目指すグローバル・セクトラル・アプローチを大きく推進させる第一歩となりました。

日本は今、環境とエネルギーの問題を解決しながら経済を発展させ、世界で勝ち抜く競争力を強化していくことが求められています。これを実現するための一つの鍵は、既存資源の有効活用です。新日鐵住金の製鉄技術が可能にした既存資源の有効活用事例として、廃プラスチックの再資源化が挙げられます。
年間約1,000万トンが排出されている廃プラスチックのリサイクルについては、長年の技術開発によって近年多くの手法が実用化されているものの、未だ焼却や埋め立て処分されるものがあり、資源有効利用の観点からその技術開発は重要な課題になっていました。このような背景を踏まえ、新日鐡住金は製鉄所内の既存設備である“コークス炉”を使用した、廃プラスチックの化学原料化技術を開発。2000年に世界で初めて実機化することに成功しました。これは、プラスチックを高温(約1,200℃)で熱分解するため有害物質の残留がなく、プラスチック製品の原料となる油、発電用のガス、および製鉄原料(コークス)として100%再資源化するという世界初の技術で、CO2削減効果においても高い効果があり、効率性、質、安全性に優れた手法と言えます。現在では、全国6カ所の製鉄所で受入体制を確立し、全国で回収される容器包装プラスチックの約3割を再資源化、単一企業での受入規模としては、世界最大の規模となります。リサイクル技術で、省エネ・CO2削減に大きく貢献。循環型社会の一翼を担うことで、新日鐵住金は、社会との共生を目指します。