身の回りにある金属製品の90%は鉄でできており、鉄は人々の生活に無くてはならない存在となっています。人類の文明を築き、ともに進化し、現代社会のあらゆる分野で使われる最も身近な物質であるにも関わらず、鉄には未解明な点が多く残されています。鉄の能力は、未だ発展途上であり、そこにはまだまだ無限の可能性があるのです。

鉄は、宇宙の誕生と同時に始まった核融合の最終の姿で、構造的に最も安定した元素と呼ばれています。また、地球総質量の約1/3を占めており、その可採埋蔵量は約2,320億トンと、他の金属に比べて圧倒的に多く存在しています。資源の豊富さゆえに、同じ重さなら、値段はミネラルウォーターの半分以下。コストパフォーマンスという点でも、群を抜いているのです。

鉄以外の金属やプラスチックなど全ての素材の中で、一番多くリサイクルされているのが鉄です。磁石につく性質があるため、分別回収が容易で、再利用してもその性質をほとんど変えることなく、新たに様々な品質の鉄を作ることができます。世界中でつくられている鉄の40%以上はスクラップのリサイクルによるもので、使わなくなった電化製品や自動車のボディ、建物なども実は立派な鉄資源です。なかでも日本のスチール缶リサイクル率は88%超と、世界で最もリサイクルが進んでいる領域と言われています。

鉄は価格当たりの強さにおける比較で、鉄以外の金属、プラスチック、炭素繊維等他の素材に比べて圧倒的に優れた素材です。現在の鉄の強度範囲は200〜4,000MPaですが、理想強度は10,400MPaと試算されており、実用化されている最高レベルの鋼材でも、まだその半分にも達していないと言われています。ねばり強さ、硬さ、しなやかさ、軽量化、加工法などあらゆる機能を掛け合わせることで、新たな未来を切り開く無限大の可能性を秘めています。